宇宙人文学

宇宙人文学に挑戦しよう! (平成25年度SSH連続講座)

【概要】

 宇宙人文学とは,宇宙技術と人文科学分野の融合を目指した新しい領域の学問である。 宇宙の資産、たとえば軌道上の衛星から取得されたデータを利用すると,地上の起伏に富んだ複雑な地形を,コンピュータの画面上に3次元の画像として構築できる。真上からはもちろんのこと,東西南北からの鳥瞰図的な視点で観察することも容易になる。これにより遺跡と遺跡,あるいは史跡と史跡の位置関係や地理的な条件などを,マクロとミクロの視点から考察できる。さらには歴史上の地球温暖期における海岸線の3次元的な変化さえ自在に再現することが可能になる。

 このように,最先端の宇宙技術を理解しさらにそれを人文学のさまざまな学問領域に積極的に利用していくことで,既知の事柄を再認識するときの裏付けとしたり,或はひょっとしたらこれまでは見えなかった多くの歴史的な出来事が、科学的な分析によって浮かび上がってきたりするかもしれない。宇宙人文学はそんな魅力ある学問である。

 本校では平成24年度から宇宙人文学の講座を開設しています。(過去の講義内容はこちらをご覧下さい)

  講師:JAXA研究員,京都大学特任教授,サイエンスジャーナリスト 中野不二男先生      (株)日経映像 映像チーフディレクター 田中宏明先生

【実施内容】

第1回 5月11日 

 第1回宇宙人文学講義実習が, 本校化学実験室で行われました。

 今回は,まず,新しく参加した1年生を対象に,講師の中野不二男 先生(JAXA研究員,京都大学教授)から「宇宙人文学と何か」の解説 を丁寧にしていただきました。 そして,次に,自由落下の様子を観察する装置を全員で製作しました。

  参加者たちは,「無重量状態」を動画に収めるための工夫を考えなが ら夢中になって装置を作り上げました。あいにくの雨でしたが,製作 した装置を11メートルの高さから地上 に落下させる試行実験まで行いました。

宇宙人文学通信(第1号)

第2回 6月15日

 6月15日(土),SSHの連続講座,第2回宇宙人文学講義実習が, 本校化学実験室で行われました。

 今回は,講師の中野不二男先生(JAXA研究員,京都大学教授)から 最初に「通信の原理」についての講義がありました。 私たちは,毎日のように人工衛星からの画像を利用して天気を知るこ とができます。人工衛星からどのように地上に送られて来ているのか を知る事ができました。 次に,更にその通信の原理を理解を深めるために,「鉱石ラジオ」を 一人1個ずつ製作しました。 はんだ付けを初めて経験する生徒も何人 か居ましたが,全員が夢中になってそれ ぞれのオリジナルのラジオを作り上げる ことができました。完成作品を持って中 庭にあつまり,アンテナに結線すると, ラジオ放送を各自聞くことでき,見事に 作品の成功を確認できました。

宇宙人文学通信(第2号)

 

第3回目 8月28日〜30日

 8月28~30日,SSHの連続講座,宇宙人文学の新潟長岡巡検実習が, 行われました。(生徒22名,引率教員4名,講師2名の合計28名) 人工衛星が我々に提供してくれる情報は,肉眼で確かめることがで きる可視画像だけではありません。数知れず多量な情報が提供されて います。そのうちの一つに「近赤外画像」があります。これは,地球 上のクロロフィルの分布を観測できるため,例えばコシヒカリの生育 状況の季節による変化や年ごとによる変化 を,地上の広範囲に渡って調べることが可 能なのです。そこで今回は,コシヒカリの 有名な産地である新潟県長岡市にて現地巡 検して実地に確認し,衛星画像データを分 析することを主目的とした,2泊3日の宿 泊実習を行いました。衛星データを処理し て標高データと複合する技術を学び,現地 での照合確認ができました。また,新潟県 立歴史博物館にて現地の詳細を学びました。

●宇宙人文学通信(第3号)

 

第4回目 10月5日

 10月5日(土),SSHの連続講座,宇宙人文学の講義及び実習を, 中野不二男先生(JAXA,京都大学特任教授),田中宏明先生((株) 日経映像エグゼクティブディレクター)を講師として本校にお迎えし て実施致しました。  

 今回のテーマは,前回(夏休みの長岡巡検)で得た現地情報などを 復習しながら,人工衛星データを利用して,分析方法を習得すること でした。特に「近赤外画像」を利用して 5月と8月のクロロフィルの分布を比較し て,水田の状況を比較検討しました。  また,「熱赤外画像」も検討する方法を 学び,日本海の水温変化状況や地上の温度 変化状況を比較検討することもできました。 次回は,さらに近赤外や熱赤外の画像を利 用する方法を学び,今回とは異なるエリア について分析したり自分の研究テーマを設 定したりする予定です。

●宇宙人文学通信(第4号)