宇宙人文学

宇宙人文学に挑戦しよう! (平成27年度SSH連続講座)

【概要】

宇宙人文学とは,宇宙技術と人文科学分野の融合を目指した新しい領域の学問である。 宇宙の資産、たとえば軌道上の衛星から取得されたデータを利用すると,地上の起伏に富んだ複雑な地形を, コンピュータの画面上に3次元の画像として構築できる。真上からはもちろんのこと,東西南北からの 鳥瞰図的な視点で観察することも容易になる。これにより遺跡と遺跡,あるいは史跡と史跡の位置関係や 地理的な条件などを,マクロとミクロの視点から考察できる。さらには歴史上の地球温暖期における 海岸線の3次元的な変化さえ自在に再現することが可能になる。

 

このように,最先端の宇宙技術を理解しさらにそれを人文学のさまざまな学問領域に積極的に 利用していくことで,既知の事柄を再認識するときの裏付けとしたり,或はひょっとしたらこれまでは 見えなかった多くの歴史的な出来事が、科学的な分析によって浮かび上がってきたりするかもしれない。 宇宙人文学はそんな魅力ある学問である。

 本校では平成24年度から宇宙人文学の講座を開設しています。
・平成26年度の講義内容はこちら
・平成25年度の講義内容はこちら
・平成24年度の講義内容はこちら をご覧下さい

  講師:JAXA研究員,京都大学特任教授,サイエンスジャーナリスト 中野不二男先生      (株)日経映像 映像チーフディレクター 田中宏明先生

【実施内容】

第1回 6月6日(土) 

 講師 中野不二男先生(京都大学特任教授)
   TA 本校卒業生1名(宇宙人文学経験者,東大理科2類,2年生)
 指導教員(本校教員) 2名
 参加生徒 17名 

 昨年度までの実践を踏襲するとともに,新たに研究する生徒をより多く育成することを 目的に今年度の第1回の講座が開始致しました。自ら参加を希望した1年生17名を対象に, 「宇宙人文学と何か」「通信のしくみ」の講義,および「鉱石ラジオの製作」を行いました。 はんだ付けを初めて経験する生徒も何人かいましたが,全員が夢中になってそれぞれの オリジナルのラジオを作り上げることができました。完成作品を持って中庭にあつまり, アンテナに結線すると,ラジオ放送を各自聞くことでき,見事にラジオ製作が成功していることを確認できました。

 【生徒の感想より】:
・ラジオが完成するまでにとてもたくさんの時間がかかってしまいましたが,創造していたよりよく聞こえてとてもよかったです。
・先生に見せていただいた地形の画像がとてもなめらかで細かいことに驚きました。自分もああいうものを作れるようになりたいです。
・宇宙のことに関しても文系科目が関わっているので,やはり広い範囲を学んでいくべきだと思いました。ぜひ次回も参加させていただきたいです。
・今まで全然知らなかった,宇宙の調査に使われている技術とそのしくみを知ることができて大変嬉しく思いました。



第2回 6月27日(土) 

テーマ:衛星データのダウンロードの方法の実際
    衛星データの利用例

アメリカの人工衛星ランドサットのデータは無料でダウンロードでき, 幅広くさまざまな研究に活用することができるため,利用方法を習得しておくと大変便利である。 そこで,今回は,参加した生徒全員でその具体的な方法について理解し,自分でダウンロードすることが できるようになることを目的とした講義を行った。 また,日本の人工衛星も優れていて,かなり高品質で幅広く活用できるデータを提供可能なため,さまざまな研究に利用できる。 各生徒の研究テーマ決定の参考となるように,研究への具体的な利用例についての講義を受けた。



第3回 8月24日〜26日 宇宙人文学富山〜新潟巡検

 8月24〜26日,妙高寮に宿泊し,富山〜新潟巡検を実施致しました。22名の生徒が参加しました。

 まず,24日は、午前にバスで学校を出発、午後に妙高寮に到着し,中野不二男先生から人工衛星テータの利用方法についての講義を受けました。

 25日は、富山県魚津市「埋没林博物館」,新潟県糸魚川市「フォッサマグナムージアム」を訪問し,実物の展示を通じて富山〜新潟の状況を学び,寮に戻って衛星データとの照合を実施しました。

 26日は,午前中に衛星データの活用方法について更に学習を進め研究テーマを決定する生徒も散見されました。午後には寮を出発し夕方無事に学校に到着しました。

 参加生徒は大変学習が深まった様子で,今後の研究の進展が期待されます。