特講『科学の方法』

 一つの情報は一つの結論のみをもたらすものではありません。一つの結論は単線的な情報提示と説明では十分な認識に至ることは難しいことです。また,同じ情報がもたらされても,情報を得る側の認知が同一とは限らないし,結論も一つに帰結するとは限りません。 今からおよそ40年前,物理学者アルヴィン・ワインバークは,その論文の中で次のような指摘をおこないました。「科学技術のもたらす問題の中には科学だけでは解決できないものが増加している。その解決のためには,科学を越えた次元での議論が必要である」。現在を生き,3.11を経験した私たちには40年前より遙かにリアリティーをもって伝わる言葉であります。

 本校のSSH事業は,「全ての生徒に全ての教科で」を理念とし,特定の生徒や教科・科目に限定された教育カリキュラムではなく,事象に対する総合的な理解や対処能力を磨くことを目的としています。そのような中で「特講 科学の方法」と名付けた授業開発が進められています。この「特講 科学の方法」は,文系教科・理系教科を問わず,あらゆる教科・科目を対象とした授業を開発し,総合的で自然なものとして科学の方法を身に着けようとする試みです。以下の5種が「科学の方法」の授業コンセプトです。

   Ⅰ 「科学的手法に基づく授業」
   Ⅱ 「科学的な考え方を育てる授業」
   Ⅲ 「科学を活用した授業」
   Ⅳ 「科学と連携した授業」
   Ⅴ 「科学について考える授業」

  これらの授業を実践するために,他のページに示しているような,特別講座,講演を実施しています。また,「特別」なことよりも日常の授業の中にこれらの考え方を生かしていきます。カリキュラムに応じて,教科・科目を越えた異教科・異科目のティーム・ティーチング方式の授業(複数の教員がおなじ授業で協力する形式)や,日常の教科の授業でも科学に基づいた能力開発をおこなうことを意識した授業や,他教科の授業との関連を明示しておこなう授業などの実践・開発を進めています。情報を科学的に分析し,資料や統計を理解できる力を持ち,それを様々な角度から捉え,議論できる想像力と思考力を養い,時代をリードする人材育成を目指しています。

平成27年度 特講科学の方法予定表

学年・学期 教科・科目 授業担当者 授業タイトル
1年通年 現代文I 日渡
若宮
探究と論理
ー「書くこと」で育む問題解決の力ー
1年3学期 日本史A
地学基礎
安井
田中義
富士山宝永大爆発
ー噴火の実相と復興の過程ー
1年1学期 生物基礎 内山 遺伝リテラシーⅠ
-遺伝子検査を考える-
2年1学期 現代社会
地学基礎
齋藤洋
山北
リスク社会と防災
(東北スタディツアー)
2年2学期 生物基礎
現代社会
内山
山北
遺伝リテラシーⅡ
-遺伝子検査と出生前診断-
2年2学期 コミュニケーション英語II 内山
熊木
遺伝リテラシーⅢ
-海外における遺伝子検査-

平成24年10月1日(情報公開研究大会)の「教科を超えた授業」

①物理・現代文・英語「物理の論理・国語の論理」
授業概要:現代文の問題で,なぜそれを正解とし,他を不正解とするのか。そこにある論理構造を物理の問題理解にも応用できないか。英文は論理的な構造をしているという。英語で書かれた物理の記述は,論理的でわかりやすいのか。物理の論理,国語の論理とは何か。

②数学・生物「ものの見え方」
授業概要:ヒトとカエルにおけるものの見え方を考察する。先行研究のデータを用いて模型の大きさや距離,視覚の変化などによって,行動が変化することを読み取る。また,受容される刺激の特長を,数学的な図形解釈から考察する。

③情報・数学「情報の表現と伝達(統計的な情報の分析)」(2時間連続授業)
授業概要:表計算ソフトExcelを利用して,散布図を利用する場面を判断し,適切に利用できるようにする。描いた散布図から近似曲線を用いて内挿・外挿によるデータの補間方法について学ぶ。

④化学・公民「環境問題:ダイオキシンと地球温暖化」
授業概要:環境問題として「ダイオキシン」と「地球温暖化」を取り上げ,これを化学的な視点と政治経済的な視点で考えると,どのような見方ができるかを考えてもらう。

  

(化学・公民の授業の様子)